VINTAGE 909コレクション ヘンリーネックTシャツ 1960年代

タグの感じは1960年代、本体の生地感は1970年代という時代の狭間的なヘンリーネックTシャツ('ω')ノ
ヘンリーネックが実用的なディティールから様式美になって何十年という事ですが、まあ正直1960年代の時点でも既に様式美と化していた。
この時代のヘンリーネックのカットソーはボタンを一番上まで閉じると首が閉まる、あるいは前立て部分が干渉して邪魔になるなど、そもそもボタンをある程度開けて着るのが前提な作りばかりですね('ω')ノ
それ以前のアンダーウエア時代は逆に上までちゃんとはめれる作りでした。
まあ首元をしっかりしめるのがオヤジ臭いと言う感想は戦後のそれであり、このTシャツもビンテージですが既にそう感じる時代の製品だったりする。

使いまわし臭いブランドタグにはコットン100%の表記があるがどう見てもポリコットン生地である。
1960年代とは化繊全盛の時代である。
戦前からも僅かに存在したがありとあらゆる民生品に広がり全世帯に普及したのはアメリカだけでなくジャパンでも1960年代である。
ので時代の進みに追いつけず、生地本体とタグの表記が異なるケースは意外と多い。
化繊でも比率が異なる、タグとパッケージ、ステッカーでは表示が異なる等々
そのような時代背景を色々と想像するのも面白い。

現代でもあるが、ムラ感、スラブ感のある均一なカラーではない化繊素材はオールコットンではないがヴィンテージらしい顔をしている。

余談ですが前記したように1960年代とは化繊全盛の時代である。
オーロン、エステル以外にもビニロン、カネカロン、ベンベルグ等、無数の聞きなれない素材が大流行し、だいたい当時の広告を見ると意図的に素材名を表記してアピールしていた。
そう綿製品は古い、遅れていると言われた時代である。
が併し、ヴィンテージ衣類、ヴィンテージレプリカの世界では1970年代以降が化繊の時代、それ以前はオールコットンの時代であり、その良さを今に伝えるのがヴィンテージレプリカ、という誤ったステレオタイプのワードが長く使われていた。
ユーザーの無知や勘違いはまだ仕方がない、としてプロの筈のアパレル業界人、ブランドの解説で使われると???な具合だった。
さてブームも落ち着き、今ではそんなおかしな薀蓄を見聞きするケースは減ったと思っていたが某ブランドの代表がブラウン管・・ではなく液晶画面の世界でそんなファタンジーな歴史を語っている様子をたまたま見てしまい座布団に座っていたが、雰囲気的には椅子から転げ落ちる気分だった。
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